出題内容について
公的年金、特別支給の老齢厚生年金・繰上げ支給・加給年金からの出題です。
設例
X社に勤務するAさん(59歳)は、妻Bさん(56歳)との2人暮らしである。Aさんは、来年、満60歳を迎え、X社を定年退職するか、X社の継続雇用制度を利用して同社に65歳まで勤務するか悩んでいる。そこで、Aさんは、60歳で定年退職した場合と60歳以後もX社に継続勤務した場合の社会保険等の取扱いについて知りたいと考え、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんおよび妻Bさんに関する資料は、以下のとおりである。
〈Aさんおよび妻Bさんに関する資料〉
(1)Aさん(会社員)
生年月日:昭和34年4月11日
厚生年金保険、全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。
〔公的年金の加入歴(見込みを含む)〕

(2)妻Bさん(専業主婦)
生年月日:昭和36年8月29日
20歳から30歳でAさんと結婚するまでは厚生年金保険に加入し、結婚後は、第3号被保険者として国民年金に加入している。また、Aさんが加入している健康保険の被扶養者である。
※妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。
※Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問題
《問3》Mさんは、Aさんに対して、公的年金について説明した。Mさんの説明に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 )
「Aさんには特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は支給されず、原則として65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになります」
2 )
「Aさんが老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をした場合、老齢基礎年金の年金額は繰上げ1カ月当たり0.7%減額されます」
3 )
「Aさんが65歳以後に受給する老齢厚生年金には、妻Bさんが65歳に達するまでの間、加給年金額が加算されます」
解答・解説
解答:3
1 )
不適切。Aさんは、昭和34年4月11日生まれのため、生年月日が昭和34年4月2日~昭和36年4月1日の間に該当し、64歳から特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は支給される。
2 )
不適切。老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をした場合、老齢基礎年金の年金額は繰上げ1カ月当たり0.5%減額される。
3 )
適切。Aさんは、加給年金額が加算される要件を満たしているため、Aさんが65歳以後に受給する老齢厚生年金には、妻Bさんが65歳に達するまでの間、加給年金額が加算される。
したがって3が正解となります。
FP試験対策キーワード
加給年金額
- 老齢厚生年金に加給年金額が加算されるためには、老齢厚生年金の受給権者本人が有する厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年以上なければならない。
そのほか、生計を維持しているなどの一定の要件を満たしている配偶者または子がいることなどの要件もある。