出題内容について
長期平準定期保険の経理処理(仕訳)からの出題です。
設例
X株式会社(以下、「X社」という)は、Aさん(40歳)が13年前に設立した会社である。近年は順調に業績を伸ばし、従業員も定着するようになった。Aさんは、現在、退職金規程の整備や自身および従業員の退職金準備の方法について検討している。そこで、Aさんは生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Mさんが提案した生命保険の内容は、以下のとおりである。
〈Mさんの提案内容〉
① Aさんの退職金準備を目的とする<資料1>の長期平準定期保険を提案した。
② 従業員の退職金準備を目的とする<資料2>の養老保険(福利厚生プラン)を提案した。
〈資料1〉
保険の種類 | 長期平準定期保険(特約付加なし) |
---|---|
契約者(=保険料負担者) | X社 |
被保険者 | Aさん(契約時年齢は40歳) |
死亡保険金受取人 | X社 |
保険期間・保険料払込期間 | 100歳満了 |
死亡・高度障害保険金額 | 1億円 |
年払保険料 | 220万円 |
保険の種類 | 養老保険(特約付加なし) |
---|---|
契約者(=保険料負担者) | X社 |
被保険者 | 全従業員(30名) |
死亡保険金受取人 | 被保険者の遺族 |
満期保険金受取人 | X社 |
保険期間・保険料払込期間 | 60歳満了 |
保険金額(1人当たり) | 500万円 |
年払保険料 | 530万円(30名の合計) |
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問題
《問8》X社(Aさん)は、《設例》の<資料1>の長期平準定期保険への加入を検討している。<資料1>の長期平準定期保険を下記<条件>にて解約した場合の経理処理(仕訳)として、次のうち最も適切なものはどれか。
<条件>
- Aさんが65歳時に解約することとし、解約返戻金の額は5,100万円である。
- X社が解約時までに支払った保険料の総額は5,500万円である。
- 配当等、上記以外の条件は考慮しないものとする。
1 )
借方 | 貸方 |
---|---|
現金・預金 5,100万円 |
前払保険料 2,750万円 雑 収 入 2,350万円 |
2 )
借方 | 貸方 |
---|---|
現金・預金 5,100万円 雑 損 失 400万円 |
前払保険料 2,750万円 定期保険料 2,750万円 |
3 )
借方 | 貸方 |
---|---|
前払保険料 2,550万円 定期保険料 2,550万円 |
現金・預金 5,100万円 |
解答・解説
解答:1
「契約者=法人、死亡保険金受取人=法人、被保険者=役員・従業員」の長期平準定期保険は、保険期間の前半6割相当期間の払込保険料を以下のように経理処理(仕訳)する。
払込保険料の2分の1を定期保険料として損金に算入。(費用グループ)
払込保険料の2分の1を前払保険料として資産に計上。(資産グループ)
設例から、保険期間・保険料払込期間が100歳と確認ができるため、Aさんが65歳時に解約した場合は保険期間の前半6割相当期間に該当することが確認できる。
そのため、解約時点での解約返戻金から前払保険料として資産計上している額を差し引いた金額を額雑収入として計上する。
5,500万円×2分の1=2,750万円(前払保険料)
5,500万円-2,750万円=2,350万円(雑 収 入)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金・預金 5,100万円 |
前払保険料 2,750万円 雑 収 入 2,350万円 |
したがって1が正解となります。
FP試験対策キーワード
長期平準定期保険
- 死亡保障が確保できることに加え、当該解約返戻金を役員退職金の原資として活用することができる生命保険である。そのほか、満期保険金がないことなどが特徴である。