出題内容について
所得税の課税から出題です。
設例
会社員のAさんは、妻Bさんおよび長男Cさんの3人家族である。Aさんは、生命保険の見直しを行った結果、平成28年中に下記の終身保険を解約している。また、A さんは、妻Bさんの入院・手術・通院に係る医療費について、医療費控除の適用を受けたいと考えている。
なお、Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。
<Aさんとその家族に関する資料>
- Aさん (52歳) : 会社員
- 妻Bさん (50歳) : 専業主婦。平成28年中の収入はない。
- 長男Cさん(20歳) : 大学生。平成28年中の収入はない。長男Cさんが負担すべき国民年金の保険料をAさんが支払っている。
<Aさんの平成28年分の収入等に関する資料>
- (1)給与収入の金額 : 800万円
- (2)解約した終身保険の内容
-
- 契約年月 : 平成4年7月
- 契約者(=保険料負担者)・被保険者 : Aさん
- 死亡保険金受取人 : 妻Bさん
- 解約返戻金額 : 320万円
- 正味払込済保険料 : 280万円
※妻Bさんおよび長男Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
※Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
※Aさんとその家族の年齢は、いずれも平成28年12月31日現在のものである。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問題
《問12》 Aさんの平成28年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 )
「医療費控除額は、『その年中に支払った医療費の総額-20万円』の算式により算出します。したがって、年中に支払った医療費の総額が20万円を超えていなければ、医療費控除額は算出されません」
2 )
「Aさんが医療費控除の適用を受けない場合であっても、終身保険の解約返戻金額から正味払込済保険料を控除した金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告を行わなければなりません」
3 )
「確定申告書の提出先は、原則として、Aさんの住所地を所轄する税務署長となります」
解答・解説
解答:3
1 )
不適切。医療費控除額は、原則『[その年中に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額]-10万円』の算式により算出する。したがって、年中に支払った医療費の総額が10万円を超えていなければ、医療費控除額は算出されない。
なお、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、『[その年中に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額]-総所得金額等×5%』により医療費控除額を算出する。
2 )
不適切。給与所得者でも、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要だが、Aさんの一時所得の金額は0円のため所得税の確定申告を行う必要はない。
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
3 )
適切。納税地とは一般的に住所地とされているため、確定申告書の提出先は、原則として、住所地を所轄する税務署長となる。
したがって3が正解となります。
FP試験対策キーワード
医療費控除額
- 原則『[その年中に支払った医療費の総額-保険金などで補填される金額]-10万円』の算式により算出する