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調理師ブログ

食べられると食べさせる。末期癌の父と私と看取り。

父の病状が明らかに悪化してると感じた12月初旬から父は頻繁に嘔吐をした。嘔吐が始まったら余命はそこから1、2週間だと言われていたためか、父は通院途中で嘔吐した事、点滴中に嘔吐した事を付き添いの息子に口止めをしていた。

もう、食べ物も飲み物も受け付けない父の胃。

喉から下の内臓のほとんどが癌だった。

しかし、母は「食べなければ弱るから」と言って食べさせようとする。

食べたい気持ち、飲みたい気持ちが強い父。

ネスレの抹茶のテレビCMを見て「うまそうだなぁ〜」としみじみ言っていた父。

料理番組と旅番組を良く見ていました。

食べたいけれど食べられないイライラも、その頃は見え隠れしていたが、そんな気持ちを料理番組などで紛らわせていたのだろうと思う。

私は、食べたいけれど食べられない父と、何がなんでも食べさせたい母の衝突を避けるため、父を1週間の期間限定で入院させる事を決めた。

父には、入院中の食事はもう必要ないけども、病院食をお願いして少しでも食べられる物を食べてもらいました。具なしの味噌汁、人参ポタージュ、片栗粉を溶いたようなトロミだけのもの、離乳食の初期のような形状で味付けは大人向けでしっかりあるものでした。好きな物ならゴクゴクとつい3口くらい飲んでしまって、その後おもいっきり吐く事もありました。つい飲んじゃうよね〜とか父と二人で笑ったりしました。

今日のご飯は何だ?と毎回、父から聞かれました。私は何かのスープ?何だろう?かぼちゃスープかな?人参かな?とか言って父に飲んでもらい、残った物を私が味見して答え合わせしました。食事の楽しいひと時でした。場を和ませて美味しく食べていただくのも調理人の技術だと思います。

食べる側としては、食べたらすぐに吐く事はわかっていても、食べられるという満足は一口飲んだだけでも得られるものなんですよね。でも、作り手である私は、一口しか食べられず、病院食を作っていただいた調理員さんには毎回、残してごめんなさいと思って下膳してました。

作る側と食べる側、両方の気持ちがわかるのも調理人ならではですが…

食べたら吐くの繰り返しでしたが、嘔吐物も汚いとか不思議と思わなくて、何を吐いたか、血液は混ざっているか、胆汁を多く吐いたか、そんな確認をしました。

胃液や胆汁を多く吐いていたので、父の白い丈夫な歯は茶色に変色してボロボロになっていきました。口腔ケアのウエットティッシュで拭き取りや、吸いのみでの口すすぎなどしていましたが防げなかったです。

口腔ケアのウエットティッシュや吸いのみはとても便利で重宝しました。

主治医である院長先生はよく様子を見にきて下さいました。たまたま嘔吐中と重なった時があり、背中をさすって口内や口元を拭き取ってくれました。偉い立場の院長先生がこんな事をしてくれるんだとちょっとびっくりしました。ナースコールで看護師さんを呼ぶのかなと思ったのは、私の固定観念だったと反省してます。

院長先生から、吸いのみを用意したらいいですよ、便利です。と言われたのて、使ってみたらとても良い物でした。昔ながらの吸いのみ素晴らしい‼︎笑

夜中に緑茶が飲みたいと言ってゴクゴクと飲む。直後に嘔吐。入院中はその繰り返しで、栄養は点滴だけ!

もう、好きな物食べよう!食べさせよう!あと、数日の命なら!

12月10日頃には、口から入れる物はコーヒーフロートなど、本当に食べたい物だけになりました。コーラも飲んだようです。

あれは身体に悪い、癌だからダメ、冷たい食べ物は身体を冷やす、甘い食べ物は癌の栄養、カフェインは胃には大敵。

全部禁止事項ばかりだったが、もう残り少ない命と誰もが悟った時、食べられる物、食べさせる物もガラリと変わりました。

ほんの数日生きてもらう為にさせるストレスなら、もういいか!食べたい物食べて死んだ方がいいか!そんな感じの入院生活でした。

あ!タバコも吸ったようですね〜。

私の後悔の話。

長生きしてね。

父と二人っきりの時、何度言おうと思った言葉か。

でも、あと数日の余命と分かっているのに、長生きとか言える?無神経だよな?悶々とする思考…

これは本当に言いたくても伝えたくても出来なかった言葉です。

もっと早くに言っておけば良かった。

父と暮らし始めた時に真っ先に言えば良かった言葉。

後悔!後悔!後悔!今も後悔しています。

そんな事を思う自分は前を向けてないのかなぁと思ったり、やり残した事が多いと思ったり。

父についてのブログを書いていると涙が出るのもいまだに続いている。

退院した2日後の12月中旬に父は亡くなった。

亡くなる1日前、頭で考える事が出来なくなったと息子に伝えたという。

死にゆく時の不安からか息子と娘に側に居て見ててくれと言ったそうだ。私は、父がステーキを食べたいと言っていたので、のんきにステーキを買って帰るつもりでいたが、息子からの、仕事終わったらすぐに帰ってきた方がいいとのメールを見て急いで帰った。

斎藤茂吉の「赤光」に綴られている死にたまふ母の短歌

これらの歌がぐるぐる頭の中で渦巻いて、父と暮らした田舎での思い出が涙と一緒に溢れ出そうでした。

思えば船橋で暮らし始めた日から、仕事から帰宅して真っ先にやることは父へのただいまの挨拶。 あぁ、まだ生きていると安堵しました。

亡くなってからも父のいた場所を一番先に見に行く癖が抜けなかったな…

帰宅して、ただいまと声をかけたら父は頷いた。

意思疎通はまだ出来ている。

しかし、数分後だんだんと息をして上下する肩の動きの間隔が長くなっていく、血圧計で心拍数が計れずエラー表示になる。

息を止めているかのように呼吸をする間隔がどんどん長くなっていく。

呼吸停止してるようで、何度か父を揺さぶる。

夜中近くに、訪問看護師に来ていただいて診てもらうも、あと数時間だと言われる。

家族みんなで看取る準備とは言っても、心の準備ですが、出来るわけもなく泣きながら手や足をさすってる。

母が身体を拭いてサッパリさせてやりたいと言うので息子と二人で身体を拭き、母は父のヒゲを剃る。

父の呼吸が止まるが、ダメだよ〜朝だから目を開けて起きて〜と声をかけて、父はまた呼吸をした。

もうダメかもしれないと母に言う。

母は、「母さん迎えに来たが?迎えに来たらそれについて行げ」と津軽弁で父に声をかけた。

父は二度、呼吸をし旅立った。

私は死亡時間の確認をし、医師に電話をした。

母と父を二人っきりにさせなきゃとなぜかふと思って部屋を出る。

家で最期を迎える事ができて良かったと思う。

身近な人を亡くす悲しみはどんな最期でも同じだと思うけれど、私達は父の願い通り家での看取りを選びました。家での看取りもそんな簡単なものではありませんが、地域医療の連携、ケアマネジャー、医療機器のレンタル業者、介護用品のレンタル業者、皆さんの協力があったからこそ出来た看取りでした。

協力して下さった皆様には厚く感謝しております。

本当に有難う御座いました。

ブログ更新中の今も泣けて泣けてしょうがないですが、仕事への復帰が私への心のリハビリになると思い、すぐに職場復帰し忙しく生きてます。

お世話になった地域医療の連携ですが、何度か調理師ブログでも更新している公衆衛生学では地域包括支援センターなどについても学びます。

この地域包括支援センターは調理師でなくても全ての人が生きていく上で必要な機関です。健康な人には関係ないと思う場所ですが、病気や高齢で介護が必要になる場合、直ぐに相談できる窓口です。受け身姿勢ではなく、即座に行動し、このような機関に相談する。病気であっても、高齢であっても生活の質の向上を目指す事は大切です。

我が国では病気の予防が大事だといっています。

公衆衛生学では、予防からリハビリテーションまで出てきます。

なぜ、調理師は公衆衛生学を学ぶのでしょうか?

生きることは食べること

食べること=生きること

調理師は食べ物(命のエネルギー)の作り手です。

安全で安心な美味しい料理を作れるように勉強をして合格した者が国から与えられる国家資格です。

安全と安心のために公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学を。

美味しさや調理技術のために調理理論、食文化概論を学んでいるのです。

そして、これら基本を学び、新たに筆記試験と実技試験を突破した者には調理技能士という資格が与えられます。

調理師資格を取得するため、このブログを読み、問題を解いて勉強をしている皆様の力になれるように私も日々精進していきたいと思っています。

さあ!受験生のみなさーん‼︎

平成30年度の調理師試験に向けてブログ更新していきますよ〜‼︎

調理師の皆さんも時々知識の確認に来て下さいませませ〜‼︎

三回にわたり父とのエピソードを 更新しました。読んで下さった皆様ありがとうございました。

m(_ _)m

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